十津川探検 ~瀞洞夜話~
小人歌の助と云ふ人の話
   明治初年と云っても或いは20年迄のことか。田戸に歌之助と云ふ人あり。伊丹を結ふに台を置き、槌にて打ち均らせし由なり。之には妻子ありたりと云ふ。クレチニスムスにて非ざりし由、手も足も小さい乍ら均整がとれてゐて、後者のやうに不均整にてはなかりし。
注- ・歌之助 田戸の向山家の人、同家は退転して今はない。
・伊丹 一尺八寸の酒樽用のクレ
・Cretinismus 屈列陳病、アルプス地方の風土病で畸形を伴う痴呆症

瀞洞夜話へ